為替デリバティブ被害の被害4割と遅延損害金総額6900万円を回復した判決(東京地裁)

東京地裁平成28年4月15日判決(当事務所は原告側代理人)

神奈川県内の中堅企業が、三菱東京UFJ銀行から紹介された被告である三菱UFJモルガン・スタンレー証券より、「クーポンスワップ取引」と呼ばれる為替デリバティブ取引を勧誘され、1億5000万円強の取引上の損害を被った事件。東京地裁民事1部合議体は「追加担保がどのような場合にどの程度必要となるか及び強制決済によりどの程度の解除清算金が発生するかは、顧客がクーポンスワップ取引を行うか否かを決定する際に重要な考慮要素となるというべきである」との判断を示し、その上で「被告の担当者は、原告に対して本件各契約を勧誘するに当たり、追加担保及び解除清算金が発生する可能性があるという抽象的な説明をするだけでは足りず、追加担保及び解除清算金が、為替相場の変動に応じて、具体的にどの程度必要になるか理解できるように説明する義務を負っていたと解するべきである」との判断を示した。そして、被告の説明が「具体的に、どの程度の金利・為替変動により、いくらの追加担保が発生するのかといった点については説明した形跡がなく、それらを具体的に想起できるような例示やシミュレーションなどが記載された資料もなかった」として、追加担保に関する説明義務違反を認め、また解除清算金及び解約清算金に関しても具体的なリスクや1億円を超える解除清算金及び解約清算金が必要になることを理解することはできなかったとして説明義務違反を認めた。

前記裁判体は、被った損害の6割の過失相殺を行ったものの、弁護士費用も含めた損害の4割である6972万9521円と平成24年1月17日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を命じる判決を下した。

金融機関による法人に対する為替デリバティブ取引の勧誘を巡る事件において、追加担保、解除清算金、解約清算金の説明義務違反を認めた判決例として、多数係属していると思われる同種事件にも参考となる判決である。

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