中国人の方々の刑事弁護

日本に在留資格がある中国人の方々が不幸にして犯罪行為に関わってしまうことは多くあります。

当事務所が取り扱った事件でも、短期滞在中につい万引きをしてしまったり、相手が高校生とは知らずに買春してしまったり、雇った中国人労働者に在留資格がなかったりして、警察の取り調べを受けたり、逮捕・勾留されたりするケースがあります。中国人の方々は、日本の法律を知らないため、本人が置かれている状況がどのような状況なのか親族の方々も殆ど理解していません。刑事事件の場合、逮捕されてしまうと身柄拘束がしばらく続き、接見禁止がつくと親族の方も面会することができなくなります。したがって、日本語が分からない本人も事情が全く分からないだけでなく、親族の方々も事情が全く分からず不安な気持ちが非常に強くなります。

このように、中国人の方々の刑事弁護においては、本人や親族の方々の不安をいち早く解消するため、中国語で十分なコミュニケーションが取れ、かつ迅速に対応してくれる弁護士を選任し、なるべく早期に本人との接見に赴き、かつ警察署等からも事情をよく聞き、本人や親族の方々に状況を説明して不安を解消する必要があります。また、逮捕によって身柄拘束されてしまうと、あとは時間との闘いになります。

具体的には、逮捕から48時間以内に検察官に送致され、さらに24時間以内に勾留決定がされ、勾留決定から最長でも20日以内に起訴か不起訴かの処分が下されます。そのような限られた時間の中で、本人、親族、被害者、検察官、裁判官等といった関係者と面談して、なるべく早期の釈放を求め、不起訴処分で事件が終わるように活動しなければなりません。

当事務所は、日本語と中国語で十分なコミュニケーションが取れる中国人スタッフが常駐し、緊急の場合でも親族の方々からお話を伺って本人との接見に赴くことができる体制が整っています。また、刑事弁護の経験豊富な弁護士が中国人スタッフとタッグを組んで対応させていただきますので、是非、お問い合わせ下さい。

 

日本で刑事事件の被疑者,被告人になった場合

⑴ 日本の刑事手続について

① 日本の犯罪捜査は「令状主義」に基づきます。現行犯逮捕などの例外的な場面を除き,逮捕状や捜索差押許可状などの令状がなければ,身体を拘束したり,家屋を捜索することはできません。したがって,逮捕や捜索差押の場合,まず令状の有無と内容を確認して下さい。

 

②警察によって逮捕されると,警察官による取調べがあり,48時間以内に検察庁へ事件が送られます。検察官はそれから24時間以内に簡単な取調べをした上で,さらに身体を拘束する必要があると考えた場合には,裁判官に「勾留請求」をします。勾留の必要がないと検察官が判断した場合には,釈放されます。

取り調べが行われると,必ず「供述調書」が作成されます。この警察官が作成した供述調書にサインをすると後から内容を争うことが非常に難しくなりますので,注意が必要です。不明な点や疑問点は専門の弁護士にご相談下さい。

勾留の請求がなされると,裁判官が「勾留質問」をし,勾留するかどうかを決めます(勾留決定)。この勾留質問には裁判官から言い分を聞かれたり,弁護士を立ち会わせることもできます。勾留が認められた場合,勾留請求された日から10日間,拘束されます。その間に捜査が行われます。この期間で捜査が終わらない場合で,裁判官が認めた場合には,さらに10日間,拘束されます。

勾留期間内に事件の捜査を終えると,検察官は,事件を刑事裁判にするか(起訴),しないか(不起訴)を決めます。起訴されると,裁判になります。

③ 裁判官は,他の国家機関からの干渉を一切受けず,中立公正に裁判を行います。したがって,日本では,政府からの圧力を受けて刑が重くなったり,ワイロによって刑が軽くなったりすることは一切ありません。

犯罪に対する刑罰は,全て法律で範囲が定められています。一番重い刑は死刑です。それ以外にも懲役(刑務所に留置されて,労働を行う),禁固(刑務所に留置されるが,労働は行わない)という自由を拘束する刑や,罰金などの金銭の支払いを強いられる刑があります。

④ また,日本特有の制度として,「裁判員制度」があります。故意に人を死亡させた事件,又は,最高刑が無期懲役以上の犯罪については,裁判官3人と,一般市民から選ばれた裁判員6名とが合議で裁判を行います。

⑤ 刑事事件の被疑者,被告人には,「黙秘権」が保障されています。警察官や検察官の取調べに対して供述をする義務はなく,黙っていることもできます。また,「弁護人選任権」が保障されており,弁護人の助けを求めることができます。

⑵ 犯罪の種類

①  入管法違反

出入国管理及び難民認定法(入管法)では,短期在留の外国人には旅券または許可書の携帯義務が,中長期在留の外国人には在留カードの携帯義務が課されており,警察官などから提示を求められた場合には,提示しなければなりません。日本の警察官が外国人に職務質問をする場合の第一声は,ほぼ間違いなく「パスポートを見せて下さい」です。旅券や在留カードを携帯しない場合や,提示を拒んだ場合には,それだけで犯罪になるので,警察官はこれを狙って質問します。パスポートの提示を求める職務質問で,警察官ともみ合いになり,公務執行妨害に発展する例も少なくありません。

また,入管法は,外国人の在留資格や,在留期限についても規定します。不法入国,不法上陸,資格外活動,不法就労,不法残留などは全て犯罪です。入管法違反の事件で最も多い事件は不法残留(Over Stay)です。不法在留となった場合には,刑罰が科され,更に,強制送還されることになります。

入管法違反は,最悪の場合,刑事罰を受け,更に,母国へ強制送還されることになり,日本の生活は一瞬にして奪われてしまいます。早期に弁護士の助けを受けて,最悪のケースを回避しなければなりません。

② 財産犯

日本の刑法においては,財産を保護するための犯罪が多数規定されています。他人の物を盗むと窃盗罪(10年以下の懲役,50万円以下の罰金),人をだまして物を奪うと詐欺罪(10年以下の懲役),他人から預かっている物を着服すると業務上横領罪(10年以下の懲役),暴行・脅迫を加えて他人の物を奪うと恐喝罪(10年以下の懲役),更に強い暴行・脅迫を加えると強盗罪(5年以上20年以下の懲役),この結果けがを負わせてしまった場合や死なせてしまった場合には強盗致死傷罪(けがの場合には無期懲役又は6年以上20年以下の懲役。死亡させた場合には死刑又は無期懲役)となります。

財産犯の場合,罪を軽くする一番の方法は,できるだけ早く,被害者の被害を回復させることです。つまり,被害者の方に弁償金を支払い,和解をする必要があります。この和解ができるかできないかで,良い場合には不起訴になりますし,最悪の場合は刑務所に収容されることになります。この和解を行うことができるのは,弁護士だけです。

③ 人身傷害犯

殺意を持って人を殺した場合には殺人罪(死刑,無期懲役,又は5年以上20年以下の懲役),殺意を持たずに人を殺してしまった場合には傷害致死罪(3年以上20年以下の懲役)となります。また,人に暴行を加えた場合には暴行罪(2年以下の懲役・拘留,30万円以下の罰金・科料),暴行の結果,けがを負わせた場合には傷害罪(15年以下の懲役,50万円以下の罰金)となります。

人身傷害犯においても,罪を軽くする一番の方法は,できるだけ早く,被害者・遺族に賠償金を払い,謝罪を行い,和解をすることです。最悪の場合,死刑になってしまうので,和解をする必要性は高いです。

また,日本でも,冤罪はなくなりません(一度,死刑判決を受けた人が,再審で無罪になる事例もあります。)。また,強引な取調べが行われる例も少なくありません。捜査の初期段階から弁護士の助けを受けることが,何よりも大切です。

④ 経済犯

日本では,刑法以外の法律でも多くの犯罪類型が定められているため,経済活動を行う際に気をつけなければ,気づかないうちに犯罪行為を行ってしまうことになります。例えば,経済取引に関する会社法,独占禁止法,金融商品取引法などにも各種の犯罪が定められていますし,税金についても,納税を行わない場合には所得税法違反,法人税法違反などの犯罪が成立することがあります。

そして,経済犯の場合,捜査・調査を行うのが警察官ではない例が多いです。例えば,インサイダー取引を行った場合,捜査を行うのは証券取引等監視委員会の調査官ですし,脱税事件の場合には国税局の収税官吏です。各経済分野の専門家が捜査・調査を行うので,専門家である弁護士の助けを受ける必要性は他の刑事事件以上にあります。

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