インバウンドビジネス法務①~不法就労助長罪~ラオックス社長らの書類送検にみる中国人雇用の落とし穴

昨年末に、大手電機量販店のラオックスの社長及び幹部社員が「不法就労助長罪」で、社長と法人が書類送検され、幹部社員が逮捕されるという事件が起きました。社長のコメントを見ると、最近の「中国人爆買い」に対応するため、所定の労働時間を超える長時間労働を中国人留学生にさせていたとのことです。

この「不法就労助長罪」とは、不法に入国したり、在留資格が切れた後も不法に滞在して就労する外国人や、正規の在留資格はあるがその資格で認められている活動以外の活動を行い報酬を受けている外国人を、事業活動に従事させたり、自己の支配下に置いた者を処罰する犯罪で、出入国管理及び難民認定法73条2の1項で3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金刑が科されます。

このように、最近のインバウンドビジネスに対応するため、安易に外国人を雇用すると、不法就労助長罪に問われる可能性があります。少なくとも、外国人を雇用する際は、在留カードで在留資格の有無や在留期間、在留資格の内容を確認し、許可されている範囲で就労させるように管理、監督しなければなりません。なかには、日本で就労する機会を得るために、組織的に在留カードや外国人登録書を偽造したり、変造したりするケースもありますので、在留カードの写しを保管するだけでなく、本人にヒアリングする等して、その記録を残す形で、不法就労助長罪に問われないように気をつけなければなりません。

 

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