1990年代のブームにのって中国に子会社を設立した日本の会社が、業績の悪化から、中国における子会社経営から撤退を考えている場合、手っ取り早く親会社のバランスシートからオフバランス化する方法として利用されるのが持分譲渡です。そこで、中国子会社の持分譲渡の方法について以下概略をご説明します。
持分譲渡契約
持分譲渡契約は、譲渡人と譲受人が持分譲渡について条件(金額や時期など)を定めて持分譲渡の契約を締結することをいいます。
一般にわが国でも企業買収(M&A)で行われていることと同様の手続きを行います。すなわち、まず譲渡人と譲受人は秘密保持契約を締結して、譲受人が譲渡人の持分について財務DD、法務DD等を行い、価格を決定して、最終的には持分譲渡契約書を作成して行います。
持分譲渡自体は当事者間の合意によって成立しますので、例えば日本の企業同士が日本国内で持分譲渡を行う場合、持分譲渡契約の成立で効力が生じ、よってバランスシートからのオフバランス化が図れます。
中国国内での公的手続
しかしながら、中国国内において持分譲渡契約の効力が発生するには、中国国内において要求される公的手続きを経た上でなければ認められません。
①審査認可機関での申請
所定の持分譲渡契約書、持分変更の申請書その他の資料(これは法律で規定されています)を、会社設立時に認可を受けた審査認可機関へ提出します。
②審査認可機関の決定
審査認可機関は、①の審査に必要な提出書類の提出を受けた時から所定の期間内に認可、不認可の決定をしなければなりません。
③変更登記
会社設立時に設立登記を受けた登記機関に変更登記を申請して登記の変更手続きを行わなければなりません。