日本労災保険について
日本国内にある職場(法人・非法人・個人営業に区別はありません。)で働く限り、日本人であっても外国人であっても、労働基準法や労災保険などの日本の法律が平等に適用されます。以下簡単に労災保険の制度についてご紹介します。
労災保険法とは?
「労災保険法」の正式な名称は「労働者災害補償保険法」といいます。
労働基準法第75条(「労働者が業務上負傷し、疾病にかかり、または死亡した場合は使用者が補償をすること。」)の規定に基づいて、使用者(=事業主)は雇用する労働者に対して、彼らが業務上または通勤途中に災害にあい、ケガをしたり病気になった場合に治療やその他の補償をする、法律上の義務があります。
労災保険というのは、使用者がこの労働者に対する義務を果たすために国が保険者となって行う保険制度です。
労災保険には加入しなければならないのか?
労災保険は、労働者のための保険ではなく、事故の賠償金を肩代わりしてくれる、事業主のための保険なのです。そして、労働者を一人でも雇った時には必ず入らなければなりません。
労災保険に加入しなければならない労働者とは、正規の一般社員だけではなく、アルバイト・パートなどで短時間雇用する従業員すべてです。例えば、週に1回、1時間だけのアルバイト・パートスタッフや1年に数日間の繁忙期だけ手伝ってくれる臨時スタッフについても加入しなければいけないことになっています。
労災保険がどんな場合に下りるのか?
労災保険の給付がおりる保険事故としては、業務上と通勤途中における災害(ケガや病気など)がその対象となります。
「業務上の災害」とは、業務中や、その業務に関わっていなければ巻き込まれなかったであろう災害(=業務起因性といいます。)に遭って、ケガをしたり病気になったりすることです。
「通勤途中の災害」とは、 職場と自宅との往復(単身赴任中の者に関しては、その単身赴任先の住居や一時帰宅時の本宅との往復途上も含まれます。)途中に遭ったケガや病気のことを指します。
労災保険の給付内容にはどんなものがある?
実際に被保険者である従業員などが、業務上や通勤途中に災害に遭った場合に労災保険から給付される補償内容は主に以下のようなものがあります。
1. 療養補償給付(労働者が病院で治療を受ける場合の治療費の保障など)
休業補償給付は、労災保険法第14条において「業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日」の第4日目から支給されることとされています。
ここでいう「労働することができない」とは、一般的に労働することができない場合をいい、必ずしも負傷前の労働に従事することができないことをいうものではありません。
「賃金を受けていない」とは、全く賃金を受けていない場合はもちろんのこと、賃金の一部を受けている場合であっても、それが平均賃金の60%未満であるときも含まれます。
療養した医療機関が労災保険指定医療機関の場合には、サイト内リンク 「療養補償給付たる療養の給付請求書」をその医療機関に提出してください。請求書は医療機関を経由して労働基準監督署長に提出されます。このとき、療養費を支払う必要はありません。
2.休業補償給付(労働者が仕事に就けない期間の金銭補償など)
労働者が業務上の傷病による療養のため休業し、そのために賃金が受けられない場合に休業補償給付が支給され、通勤災害による療養のため休業し、そのために賃金が受けられない場合には休業給付が支給されます。
休業補償給付又は休業給付の額は、1日につき給付基礎日額の60%に相当する額で、休業の第4日目から支給されます。ただし、所定労働時間の一部を休業した場合は、給付基礎日額と実労働時間に対して支払われる賃金との差額の60%の額となります。
休業のはじめの3日間は待機期間といい、業務災害による休業の場合は、事業主がこの間労働基準法の定めるところにより、平均賃金の60%の休業補償を行うことになります。通勤災害による休業の場合は事業主の補償義務はありません。
3. 障害補償給付(病気やケガが治る前の療養中の年金や一時金など)
障害補償給付は、業務上の傷病が治ったあと身体に一定の障害が残った場合に支給され、障害給付は、通勤災害による傷病が治ったあと身体に一定の障害が残った場合に支給されます。
障害補償給付の対象となる障害の程度は、労災保険法施行規則別表第1の障害等級表に定められています。障害の程度に応じて1等級から7等級までありますが、給付基礎日額が等級によって異なります。
上記以外、その他の給付金もありますが、これらの給付金(補償)を受けたい時には、所定の手続きに従って労働基準監督署長に申請しなければなりません。
手続きや申請方法についてご不明の場合には、当事務所までお問い合わせ下さい。