1 不動産取引
① 不動産売買
日本では、中国と違って、私人(民間人)が不動産の所有者となることができます。中国人が、日本の不動産を取得するには、所有者から購入する方法があります。日本では、中国人であっても、所有者から不動産を購入することができます。不動産は大きく分けて土地と建物があります。土地や建物に関する権利関係は不動産登記簿謄本で確認ができます。仮に、不動産に抵当権が付いた場合、購入した後にも抵当権が付きます。
不動産を購入するには、一般には、不動産仲介業者を通じて物件情報を入手します。そして、実際に、購入する際には、宅地建物取引主任者から重要事項の説明を受けます(宅地建物取引業法第35条)。重要事項の説明を受けた後でその内容を聞いていなかったと主張しても通りません。
不動産は非常に高価な買い物になりますが、法規制は複雑です。例えば、都市計画法第8条に定められている「用途地域」により、土地によって建てられる建物は制限されています。また建物を購入しても同じ建物に建て替えられるとは限りません。
具体的な例としては、市街化調整区域における建物は開発行為を行うことが原則として行えないため、建物が老朽化したからといっても新しく立て直すことはできません。さらに、取引が終了した後での法規制として、例えば土地に関してですが、一定面積以上の広大な土地を取得した権利者は2週間以内に国土交通省令で定める事項を都道府県知事に届出しなければならない場合もあり、これを怠った場合には罰則(六月以下の懲役または100万円以下の罰金)も定められています(国土利用計画法第23条、第47条)。
また、不動産を巡るトラブルも多発しています。購入した土地が土壌汚染に冒されていたとか、購入した後に近所に高層ビルが建築され日照権や環境権を侵害されたといったトラブル、境界を巡るトラブル、購入した建物に欠陥がみつかった場合、その他振動や騒音に関するトラブル等です。
不動産は非常に高価なものであり、また購入に際しては様々な知識が必要になります。よって上述のようなトラブルを未然に防ぐため、法令遵守の観点からも是非弁護士をご活用下さい。
② 不動産賃貸借
日本で暮らす場合、アパートを借りる必要があります。また、日本で会社を設立してビジネスを営む場合、事務所を借りる必要があります。その際に、物件のオーナーと賃貸借契約を結び必要があります。賃貸借契約を結ぶ場合、その条件を明記した賃貸借契約書を作成する必要があります。
仮に、あとで契約書に書いていない事項を主張しても、オーナーはまず認めませんし、逆に契約書に書いてある事項について後で聞いていなかったと主張しても、まず認められません。特に、賃料を少しでも滞納したら契約解除になる条項や、友人と同居しただけで解約となる条項もあるので、注意が必要です。よって、契約書を作成して署名押印する際には、是非、弁護士にご相談下さい。
また、不動産の賃貸借を巡っては、民法の他に借地借家法という法律が適用されます。そのような専門的な知識がない場合も弁護士にご相談下さい。
さらに、不動産賃貸借契約書では、仮に契約書に書いてあっても法的には無効と解される条項(更新料や賃借人に一方的に不利な条項)や交渉の余地のある条項もありますので、弁護士にご相談下さい。建物から退去したにもかかわらず、オーナーから敷金の返還が受けられないといった場合にもご相談下さい。